住宅の屋根の形状について

<目次>
はじめに(住宅の屋根の形状について
住宅を建設する際の「屋根の形状」について話をしたいと思います。街を歩いて屋根を眺めて見るといろいろな屋根があるのがわかります。しかし、屋根の形状には意味があるのでしょうか。また、どういった特徴があるのでしょうか。家を建てた人はどのような考えて屋根を決めているのかについて考えてみたいと思います。
主な屋根の形状
大まかに屋根の形状は主に次の8つに分類されます。先日ランニング中に見た感じでは、寄棟屋根30%、切妻屋根30%、その他40%(片流れ>はかま腰屋根>方形屋根>陸屋根>入母屋)くらいの感じでした。
- 寄棟屋根(よせむねやね)
- 切妻屋根(きりづまやね)
- 片流れ屋根(かたながれやね)
- 招き屋根(まねきやね)
- 陸屋根(ろくやね・りくやね)
- 入母屋屋根(いりもややね)
- はかま腰屋根(はかまこしやね)
- 方形屋根(ほうぎょうやね)
屋根の役割(必要な機能)
屋根の形状別には、後で説明しますが、その前に屋根の役割(必要な機能)について考えたいと思います。
まずは、当たり前ですが、「雨を防ぐ(漏水しない)」ことです。漏水を防ぐためには、屋根の形状にも関係します。
2番目は、「日差しの調整機能」です。夏は、日差しが入らず、冬場は日差しを取り込むことができることが理想です。
3番目は意匠(デザイン)です。屋根の形は家のコンセプトにも影響します。
4番目は「太陽光パネル」の設置場所です。片流れにすると設置が難しくなります。
さいごに、北側斜線制限・道路斜線制限・隣地斜線制限等の法的制限の対応です。例えば、北側斜線制限があるにもかかわらず、北面が「妻(三角の壁側)」だと斜線制限に引っかかる可能性が高くなります。
また、屋根の形状は「コスト」にも影響しますので、その点についても考慮する必要があります。昔は「うだつ」を作るのが甲斐性があった証拠?だったようです。なお、「うだつ」の本来の目的は、見栄を張ることではなく「防火」のための防火壁です。
屋根の条件(役割)をまとめるといかになります。
- 雨を防ぐ
- 日差し(日射)の調整機能
- デザイン
- 太陽光パネルの設置場所
- 斜線制限の対応
- 注意点:コストにも影響
8つの形状の特徴
それでは、形状について考えてみたいと思います。
1.寄棟屋根(よせむね屋根)
寄棟屋根とは、四方向に傾斜がある屋根の形のことです。
<メリット>
- デザイン性(格調)が高い。どの角度から見ても美しい。
- 全ての面に軒があるため、壁に雨水・日射が当たりにくく耐久性が高い
- 風(台風)に強い
<デメリット>
- 切り妻・片流れ屋根に比較すると少しコストアップとなる。
- 斜線制限に引っかかると形状がくずれる可能性がある。
- 小屋裏収納が設けにくい
<ReAfPie見解>
ReAfPieとしては、好きな形ですが、小屋裏(勾配天井)の活用とはあまり相性が良くないです。
そのため、建物のデザインを優先させる方には良いと思います。
2.切妻屋根(きりづまやね)
切妻屋根とは、四角い建物に2つの面だけで構成された屋根が乗っているシンプルな形のものです。
<メリット>
- 材料費や手間の両面で建築コストが安い
- 太陽光パネルが設置しやすい
- 小屋裏収納が作りやすい
- 勾配天井を活用した吹抜空間が作りやすい
<デメリット>
- 妻側に雨水や日差しがあたりやすいため劣化しやすく、日射の調整が難しい
- デザインが少し単調になる
<ReAfPie見解>
ReAfPieは、コストおよび機能性を重要視しますので、一番お勧めの形です。
3.片流れ屋根

片方のみに傾斜がついている1つの面だけで構成されている非常にシンプルな形のものです。
<メリット>
- 材料費や手間の両面で建築コストが一番安い(雨樋も片側のみで良い)
- 勾配天井を活用した吹抜空間が作りやすい
- 北側斜線制限の対応が容易
<デメリット>
- 日射調整が難しい
- 桁側(長い面)に雨が当たりやすい
- 通常「南→北」の勾配になるため、太陽光パネルの設置が難しい
- デザインは単調(シンプル)になる
<ReAfPie>
太陽光パネルの設置が難しいので、設置を考える方には不向きです。また、勾配天井やハイサイド窓を考える場合は良いのですが、ReAfPieとしては招き屋根の方をおすすめします。
4.招き屋根
招き屋根は切妻屋根の片方を長くし、もう片方を短くして段差のある切妻屋根のことです。
比較的メリットが多い屋根と言われています。
<メリット>
- 小屋裏を作ることができる
- 勾配屋根を利用して吹抜けをつくることができる。
- ハイサイド窓を設置することができる
- ある程度太陽光パネルを設置することができる。
- 比較的低コスト
<デメリット>
- 雨仕舞いをきちんとしないと漏水が発生しやすい
- ハイサイド窓のメンテナンスを検討する必要がある。
<ReAfPie見解>
コストが若干かかり、雨仕舞いも若干難しくなりますが、①勾配天井およびハイサイド窓 ②太陽光パネルが設置可能なことからデザインに抵抗がなければ、一番のおすすめです。
5.陸屋根(ろくやね・りくやね)

屋根が平坦な形の屋根形状です。主にコンクリート造・鉄骨造の場合使用されています。
<メリット>
- 屋上をバルコニーとして利用可能
<デメリット>
- 漏水が発生しやすい
- イニシャルおよびメンテナンスコストが高い
- 木造では不向き
- 斜線制限対応が難しい(広い敷地が必要)
- 軒がないため、日射調整が難しい
<ReAfPie見解>
鉄筋コンクリート造および鉄骨造の方で、屋上を頻繁に利用される方以外はおすすめしません。ルーフバルコニーを作る場合は、使用目的・頻度を真剣にお考えください。
6.入母屋屋根
昔からある伝統的な形です。
<メリット>
- 日本伝統的な意匠のため、和風建築と相性が良いです。
- 切妻屋根と同様に小屋裏を活用することができます。
- 勾配天井にすることにより吹抜空間をつくることができます。
- 寄棟のように4面あるので風に対して耐力があります。
<デメリット>
- 複雑な形状になるため、漏水の発生確率が高くなります。
- コストが高くなります。
<ReAfPie>
純和風にこだわりがあり、かつ資金に余裕のある方以外はおすすめしません。
7.はかま腰屋根(はかまこしやね)
切妻屋根と寄棟の間のような形状です。斜線制限により切妻屋根の棟を切り取った場合になる形です。
メリット
- スイスの山小屋風になる
- 切妻屋根よりおしゃれな感じがする
- 斜線制限対策の際に有効
デメリット
- 屋根の形状が少し複雑になるため、若干コストが高くなる
- 雨仕舞いが少し難しくなる
8.方形屋根
四角垂(正方形)に近い形の屋根です。5(3)重の塔、茶室等のモニュメント的な建物には用いられますが、通常の住宅ではあまり見かけないと思っていたのですが、ランニング中にいくつか発見しました。
基本的にメリット・デメリットは寄棟屋根と同じです。
まとめ
8つの屋根の特徴(良い点・悪い点)を表にまとめてみました。みなさんのイメージ及び土地の形状等と照らし合わせてご検討されると良いです。
屋根の形状 | コスト | 意匠 | 雨仕舞 | 風体力 | 日射対策 | 太陽光パネル | 斜線制限対策 |
寄棟屋根 | △ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
切妻屋根 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
片流れ屋根 | ◎ | 〇 | ◎ | △ | ✖ | ✖ | 〇 |
招き屋根 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
陸屋根 | ✖ | 〇 | ✖ | ◎ | ✖ | 〇 | ✖ |
入母屋屋根 | ✖ | ◎ | ✖ | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
はかま腰屋根 | △ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ |
方形屋根 | △ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
さいごに太陽光パネルについて
ちょうど寄棟屋根と切妻屋根が並んでかつ太陽光パネルが設置されていました。比較すると寄棟屋根に太陽光パネルを設置するのは設置面積が少なくなることと斜めの部材を使用することによりコストが割高になります。そのため、太陽光パネルの設置を考える方は切妻屋根をおすすめします。
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