90㎡未満の床面積の間取り(900mm・910mmモジュールの比較)


<目次>
はじめに
今回は、建ぺい率・容積率が厳しい(建ぺい率40%・容積率80%)ため、90㎡未満の家しか建てることができない土地)での間取りを900mmモジュールと910mmモジュールで作成したものです。
要望事項
3LDKが要望であるが、敷地条件が厳しいため、今回の間取り作成に際しては以下を最優先としました。
- 建築面積を最大限使い切ること
- 総2階建てにして床面積を最大限使い切ること
また、建ぺい率が40%のため、外部(駐車場・庭)は確保することができますので、建物を北側斜線制限に抵触しないレベルで北に寄せて設計いたしました。
概要
- 道路:道路:東側4m
- 敷地形状:ほぼ長方形
- 敷地面積:107.66㎡(32.57坪) (建ぺい率40% 容積率80%)
<900mmモジュール>
- 1階床面積:42.52㎡ 2階床面積:42.52㎡
- 床面積合計:85.04㎡ (25.72坪)※許容床面積の98.7%の利用
- 収納割合:約10%
<910mmモジュール>
- 1階床面積:42.75㎡ 2階床面積:42.75㎡
- 床面積合計:85.50㎡ (25.86坪) ※許容床面積の99.3%の利用
- 収納率約10%
900mm・910mmモジュール共に許容床面積=107.66×80%=86.13㎡の範囲内です。
プラン
それでは、9000mmモジュールで作成した間取りを見てみましょう。
<1階>
・リビング:北側斜線制限に係らない範囲でできるだけ建物を北に寄せたので南側のお庭が確保できました。そのお庭に面して12.5畳のリビングを配置し、北側にリビング階段としています。
・キッチン:パントリー付きの広いキッチンを確保しています。また、キッチンから直接テラスに出入りすることも可能としています。
・洗面所兼脱衣所:床面積が小さいので、お風呂・洗面所を2階に配置することやお風呂と洗面所を分離することも検討しましたが、そうすると2階に3室確保することが難しくなりました。
そのため、お風呂と洗面所兼脱衣所は1階に配置いたしました。キッチンに面してお風呂と洗面所兼脱衣所を1階に配置したので、洗濯動線がスムーズになっています。
また、南側のお庭にテラスを設置していますので、天気の良い日は洗濯物をテラスムーズにテラスに干すことができます。
・エントランス:このサイズの家としては、広いエントランスが確保できました。
また、シューズクロークや物入及びディスプレイスペース(物入の上)も設置していますので、ひな人形などのディスプレイに良いかと思います。
・その他:南側は日当たりの良い20㎡程度の庭が確保することができました。
図面上はテラスにしていますが、ガーデニングの好きなかたは、植物を育てても良いかと思います。※添付の間取りには設置していませんが、テラス上部にオーニング(テント)を設置しても良いかもしれませんね。
<2階>
寝室及び2室の子供部屋を配置しています。床面積に制限があるので、できるだけ廊下が少なくなるように設計しています。
部屋は4.5畳と5.8畳の子供部屋、2畳のウォークインクローゼット付の7.5畳の寝室が確保しています。

<収納>
エントランスホールに収納及びキッチンにパントリーを設置しています。収納率は約10%となっています。
少し収納が少なければ、リビングのテレビボードの部分を壁面収納にすると良いかと思います。
900mと910mmモジュールの比較
<910mmモジュール>
<900mmモジュール>
次に、上記の910mmモジュールを900mmモジュールにすると間取りはどのように変わるか見てみたいと思います。見比べてみると、不思議なことに、910mmモジュールだと少し凸凹した壁面(上図の赤枠)でしたが、900mmモジュールだとほぼきれいな長方形になりましたね。この程度の凹凸は許容範囲と考えることもできますが、凸凹がないとどのようなメリットがあると思いますか?ReAfPieは以下のようなメリットがあると考えています。
<凹凸のないメリット>
凹凸がないメリットについて少し説明したいと思います。凹凸がないことには以下のようなメリットがあります。設計士は、基本的には凹凸がないように設計します。
安易に凹凸をつけることはできるだけ避けたいと思います。
- 建築費が安くなる(壁面積が減って、施工が楽になるため)
- 断熱性が高くなる(壁面積が減るため)
- 部屋の使い勝手が良くなる。
- 外観がスッキリとする。
まとめると、「コストダウン」「省エネ」「スッキリ」ですね。
モジュールについての補足
今回のテーマにしたモジュールについてご存知のかたもいるかもしれませんが、少し補足したいと思います。
そもそもモジュールとは英語で言うと「部品」「構成部品」とのことです。レゴブロックなどの一つのブロックを想像してみてください。ブロックでは、ブロック1個の高さ・幅がモジュールとなります。そのため、大きいブロックでも小さいブロックでもきちんと組合せができるようになっているかと思います。
建築のモジュールは、日本では「900mm」「910mm」「1000mm」のいずれかが大半(例外として京間などがあります)となっています。アメリカでは、フィート・インチモジュールであり1218mmが1単位だそうです。
また、910mmモジュールの起源は、日本古来の「尺貫法」によるものです。
※尺貫法とは昔の単位です。例を以下に上げます。
- 1尺≒30.3cm 3尺=1間
- 1坪=1.818m×1.818m≒3.30524㎡ 300坪=1反 10反=1町
- 1合≒180ml 10合=1升 10升=1斗
- 1匁≒3.75g 1両=10匁=37.5g 1斤=160匁≒600g 1貫=1000匁≒3750g
ReAfPieも重さの単位については、知らなかったので調べました。そこで疑問に思ったのはパンの1斤は、上記の尺貫法に関係があるのかということです。答えはあるそうです。
しかし、現状は、510g>1斤のパン>340gというパン業界のルール(正式なものかは未確認)があるそうです。(全くどうでも良い話ですね)
900mmモジュールの起源は存じていないのですが、建売業者さんとかが狭い床面積て多くの部屋を作るために利用したのではないかと推測いたします。
在来工法では910mmが一般的ですが、建売建築を建てている工務店であれば、900mmモジュールも対応可能かもしれませんので、建築面積・床面積が厳しい家の場合は工務店と相談して検討しても良いかと思います。
なお、大手ハウスメーカーの家はメーターモジュールも多いですが、その場合は逆に床面積が大きくなります。※坪単価が減少するので割安に見せるためかもしれません。
しかし、910mmモジュールよりも広くなり格段に住み易いと思いますので予算と敷地に余裕があれば良いかと思います。しかし、今回の敷地条件ではメーターモジュールの場合は3LDKを建てることは非常に難しいと思います。
ReAfPieとしては、900mmモジュールを推奨しているのではなく、建築面積・床面積の制限が厳しい場合のテクニックの一つだということをお知らせしているものです。
いかがでしたでしょうか。みなさまの参考になれば幸いです。
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